黒羽の杜

生まれも育ちも全く関係のない北関東に落ち延びた、とある漢の趣味のBlogです。

似ているようで全然違う...

こんばんは。

ツノボソといえば...
「アンタエウスをそのまま小さくしたようなやつ」という印象で、
野外品の入荷もぽつぽつあり、価格も落ち着いていることから、
ブリードもそう苦労することもないのだろうと思っていました。
ほんのついこの間、現物をねっとりと観察+調べ物をするまでは...

今回入手したのはタイリクを付けずに単なるツノボソ、
あるいは台湾ツノボソ、タイワンツノボソと呼ばれるものです。
皆様はどの表記がしっくりくるでしょうか?gracilicornis(グラキリコルニス)?

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大雪山森林遊樂區 2021年7月入荷の材採集品 ♂47mm
日本語だと大雪山森林遊楽区。
所在地としては、台中市和平区雪山路18号、らしいです。

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同個体、真上より。
タイ、ラオスベトナムアンテあたりを彷彿とさせる造形です。
ただ、下に貼る3枚目に決定的な違いがあります。

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同個体の裏側です(マットが固着している...申し訳ありません)。
アンタエウスには、大顎基部にオレンジ色の毛束がありますが、
こいつにはありません。

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♀32mm
頭部にある「ドルクスコブ」は2つで、シルエットもアンタエウスに似ていますが、
上翅には明瞭な点刻列があります。

ここまでで、この虫が外見上、
アンタエウスとは全くの別物であるということを感じて頂けたと思います。

さて、次の問題はその生態に関してです。
材採集品とありましたが、どうもこの虫は広葉樹の白枯れやその根部ではなく、
赤枯れから得られるとのこと。
実際、真っ黒く完熟発酵したマットでも産まないことはないものの、
マルバネ同様に赤枯れマットで良い結果が出ているそうです。
あくまで産卵に癖があるだけで、幼虫の適応度は高く、
低温管理を前提として菌床、マットともに羽化まで持っていけるらしい...

要するに、完全なる難種スキモノ向けのやつです。
現地の気温は-5℃~18℃と、ブリードルームで再現可能な範囲です。
現状♂♀共にゼリーを食していますが、ペアリングは年明けに試みる予定です。